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いがのくにふるさとはなし

伊賀國

言葉の思ひ出
ち〜ひ

東川吉嗣

伊賀國の玄關頁
あ〜か
き〜こ
さ〜た
ふ〜ん・上野言葉

名張言葉 - ち〜ひ

○チのことば - ちちおさへ ちつき ちのさか ぢべた ちやんぶくろ 長壽箸 ちよかつく ちよける ちょんちょんみづ ちんここかんここ ちんちろ ちんばいとこ ちんぽ ちんちん
○ツのことば - つし づつない つばな つれあひ
○テのことば - であひ てかけ てご  てんご てしよ
○トのことば - とうがたつ とごる どざか とのくち どべ とほし とんこつば とんぼ
○ナのことば - ながさき ながたん 名張饅頭 なほす なりやい なんば なんばん
○ニのことば - にこ にこぼこり にこにこ につきすい につすい
○ネのことば - ねぐさる ねこ
○ノのことば - ノーパン
○ハのことば - はい はがため はがむ はしかい はじつくひ はしゃぐ はしり はた ばたばた ばば はひらず はみ 腹の皮が張つたら、眼の皮たるむ はん
○ヒのことば - ひこに這入る ひしる ひだりまき ひだりまへ ひだるい ひね ひるのひなか びんづけ ひんねし


○ちちおさへ
乳房を揺れないやうにするための、女性用の下着。いま、「ブラジャー」といふもの。母が使ふてゐたことば。
○ちつき
鐵道便で荷物を送るのを、「ちつきで送る」といふた。乘車券無しでも送れたのかどうか知らない。「チケット便」といふことか。
○ちのさか
    夏見の福典寺の脇の下り坂を東へ分かれる坂道。この坂道の果てに大きな水車があつた。「鎮の坂」とのこと。脇の山に鎮守の社があつたのか。
○ぢべた
大地のおもて。「ぢめん」からの轉訛か。「けふの遠足ではぢべたに坐つて御辨當をたべた。」などといふ。
○ちやんぶくろ
「茶の袋」。朝は茶で煮たお粥を食べたが、茶粥を炊く時に、ほうじ茶を入れる布の袋を「ちゃんぶくろ」と言ふた。お盆には、古いちゃんぶくろを家の裏口を出た所に棒で懸けて茄子やきうりと共に供へてゐた。
井戸の水汲みポンプの口に砂を除くために布袋がつけてあつたが、それを何と言ふたか知らない。
○長壽箸
數えで八十を超えて死んだ人の葬儀で配る箸。長壽を全うしたので縁起が良いとされる。長壽で死んだ人の棺は、遺族が五色の布で曳いて「さんまい」まで送り、埋葬する。「ぢぢ、ばばの葬儀は孫の祭」などと言ふのを聞いた憶えがある。
○ちよかつく
    静かにしてゐなければならない所で歩き回つたり、身體を動かしたりして、落ち着き無くすること。「ちよかちよかとする」と言ふたりする。「ちよける」のはうが積極的な感じがする。
○ちよける
ひょうきんなことをする。不真面目なことをする。「あの子はちよけてばっかりゐる」などといふ。その行爲が特定の人に向けて行ふことを「おちょくる」といふ。「おちょくる」と元は同じか。
○ちょんちょんみづ
   夏見から曾爾街道を行き、左手へ登る坂道の途中にあつた清水。
○ちんここかんここ
おくどはんから降ろして「鍋敷き」に載せた釜の尻に火の粉が点滅するのを、幼い頃は「ちんここかんここ」と言ふた。わが家の幼児言葉に過ぎないのかも知れない。東京の本郷臺の建物から深夜二時頃の丸の内方面の夜景を見たことがあるが、銀座や日本橋のネオンサインが全て消えて、高層ビルや高い塔に點滅する赤い灯のみが見えた時、「ちんここかんここ」を懐かしく思ひ出した。
○ちんちろ
松の實を含む固まり「松かさ」を言ふ。ごく幼い頃、いたずらで仰向けに倒されて、股ぐらの所に「ちんちろ」を置いて、からかはれ、泣かされた記憶がある。子供の感覺で「ちんちん」と「ちんちろ」の言葉の類似を面白がつたもの。
○ちんばいとこ
幼い頃、誰と誰は「ちんばいとこ」だ、と言ふ話をよく聞いたが、詳しい關係は判らない。 「ちんば」は脚の長さが等しくないこと。「ちんば」と「びっこ」は似てゐるが、「びっこ」は「曳き子」で歩く時に片足を曳くやうすを言ふ言葉か。
○ちんぽ ちんちん
男の性器のうち、陰莖を言ふ。小児言葉は「ちんちん」。陰嚢は「きんたま」といふ。
○つし
物置などにしてゐる屋根裏。表の家の「つし」には薪や柴など燃料を、裏の小屋の「つし」には、むしろや、道具類などを仕舞ふてゐた。
○づつない
頭が痛い。「頭痛な」。風邪引きや、熱などで「頭が」痛いときに言ふ。怪我などで頭が痛いのは、單に「頭が痛い」といふ。氣持や心のありやうが元で「頭が痛い」時は「きづつない」といふ。
○つばな
茅(ちがや)の若芽。「茅花」。近所の子がつばなを摘んで食べてゐた。少し甘い。
○つれあひ
結婚生活の相手のことを指す。「これがわたしのつれあひや。よろしうたのみます。」などと言ふ。互ひの人生を共に連れ立つて歩む相手であること示す言ひ方で、伊賀人の人生觀をよく表してゐる言ひ方。
○であひ
道の修復など公共の共同作業を、それぞれの家から人が出て、力を併はせて行ふこと。田植えなどの共同作業は「公共の作業」ではないので、「であひ」とは言はなかつたと思ふ。
○てかけ
正妻以外の連れ合ひの女をいふ。「めかけ」と同じ。目を掛けるだけではなくて、手まで掛けた關係といふことか。
○てご  てんご
冗談。たはむれ。うそらごと。「てごをする」、「てんごをする」と言ふ。ほんのたはむれでしたことが、現實の惡い結果を齎すことを「てごがまこと」といふ。「てんごばつかりしてたら、ほんまにてごがまことになるでえ」とよく言はれた。伊賀人の手堅い生き方を旨とする戒めである。
○てしよ
料理の時に味見をしたり、刺身の醤油を容れたりする、小さな皿。「手塩皿」。「おてしよ」と言ふてゐた。
○とうがたつ
野菜などが生長しすぎる。「塔が建つ」といふこと。野菜が生長し過ぎると背が高く、莖が堅くなるのを「塔」に喩えたもの。「ちよつととうがたつてるのでしなごいなあ」などと言ふ。歳を取りすぎることも、喩えて「とうがたつ」と言ふ。「あそこのこも、とうがたつて來たなあ。行かず後家になるで」などと言ふ。野菜が「ひねて」、「塔が建つ」。
○とごる
水の下のはうに沈澱物が溜まること。「ようかきまぜやんと、下のはうにとごるでえ」などと言ふ。
○どざか
坊垣と後出の間の石の地蔵からの下り坂。
○とのくち
家の出入り口、あるいはそのすぐ内側。「外の口」といふことか。家の外側へ出る口。
○どべ
一番後の人。「昨日の運動會でどべやつた。」などと言ふ。
○とほし
篩ひ。「篩ひ通し」のこと。「とほしで篩ふ」といふ。
○とんこつば
牛や豚を殺す屠殺場。「屠骨場」といふことか。「とんこつば」の下の下水路にゐる蛭は人に吸ひ付かないし、これをを餌にして鰻を釣るとよく獲れると近所の人が言ふてゐた。
○とんぼ
正月飾りのしめ縄で、蜻蛉のやうな形に結んだもの。稲藁を打たずに左縒りになひ、二回折り曲げて、蜻蛉の羽根を開いた形にしたものを、中央で別の稲藁で折挾み、結はえる。父は、普段の縄は、藁打ちをして、稲藁の腰を柔らかにして、兩手に挾んだ藁を二つに分けて、右手を前へ擦り出すやうになふが、正月飾りのしめ縄は藁打ちをせず、左手を前へ擦り出すやうになふ、だから、しめ縄の縄は不細工に見える、とヘへてくれた。このとんぼに、ふくら草の葉、ゆずりはの葉、裏白などを挾んで飾る。
○ながさき
葛粉を固めた伊賀名物の干菓子。長崎渡りの菓子であることを連想させる名前。「かたやき」と共に、「名物に旨い物なし」といふ通俗法則を裏切る伊賀名物。「年寄りへのみやげやつたら、かたやきよりもながさきのはうが、ええかもしれんなあ。」
○ながたん
料理をするときの菜切り包丁。「菜刀」。「ながたんはよう研いどかんと、指を切るで。」
○名張饅頭
あんこの玉に薄い衣を着けて蒸しあげた饅頭。「名張饅頭のことを大阪ではおかきち饅頭ちうてるわ。」と聞いた憶えがある。「手みやげに驛前の贊急屋で名張饅頭を買ふて行くわ」などと言ふ。東京では同じやうな物を薄皮饅頭などと言ふてゐる。
○なほす
本來の位置、もしくは本來の状態に物を戻して、片付ける。「道具を使ふたら、ちやんとなほしときいや」と言はれた。「やまひをなほす」のは、本來の健やかな身體に戻すことである。
○なりやい
定められた通りにしない。目的に沿ふやうにしない。細かく念を入れるとか、重ねて力を入れるとかの努力をせずに、成るがままに任せた結果をいふ。「なりやいにしたさかい、あんじょういかんかつたわ。」などといふ。「ナッリャイ」と促音に言ふこともある。「おほたいづ」と似てゐるが、「おほたいづ」が、數量的に大まかであるのに較べ、「なりやい」は仕事のやり方の粗雑なことを指す。「成り合ひ」か。
○なんば
とうもろこし。自分の家では作つてゐなかつたが、近所で作る家があり、「なんば」と言ふてゐた。「南蠻」の物といふことか。
○なんばん
カボチャ。自分の家では「カボチャ」といふてゐたが、近所の人は「なんばん」といふてゐた。違ふ種類のカボチャを指すのか判らない。「南蠻」の瓜といふことか。
○にこ にこぼこり
細かい泥のやうなほこり。漢語の「泥垢」の音(ニーク)からか。家の戸は開け放しだつたので、夕方には、うつすらとにこぼこりで、毎日、板の間を拭くのは、子供の仕事だつた。
○にこにこ
自轉車の前に着ける、前がガラス戸になつた、蝋燭を使ふ小さなカンテラ。乾電池式のランプが普及して使はれなくなつた。なぜ「にこにこ」といふたのか知らない。
○につきすい
瓢箪の形をした小さなガラス瓶に容れて、赤や、青や、黄の色を着けた肉桂味の甘い水の飲み物。小さなコルクで栓をしてあつた。ごく幼い頃、「あさやんとこ」と言ふてゐた辻本商店で買ふた。
○につすい
ぶおんなの顔立ちを言ふ。強調するときは「ニッスイニッスイ顔」などと重ねて言ふ。
○ねぐさる
煮た物が傷んで食べられなくなること。「煮腐る」といふことか。あるいは「寝腐る」といふことか。
○ねこ
掻き餅を作るのに、餅を搗いて、大きな細長い塊にしたものを「ねこ」と言ふた。童の頃は、その姿を猫に例えて言ふのかと思ふてゐたが、紀州でおにぎりのことを「にんにこ」と言ふ所があるとの話を聴いてからは、大きく握つたものなので「ねこ」と言ふのかとも思ふ。 また「抱へ火鉢」を「ねこ」と言ふが、これは「猫を抱きかかへると暖かい」ことからくるか。「新町の河原でねこを抱いて博打をして、腹に火だこ、背中にあかぎれができた」との話を聞いたことがある。
○ノーパン
自轉車のタイヤの中に、空氣のチューブではなく堅いスポンジを入れたもの。「パンク」の恐れが無いので「ノーパン」。家にあつたが、父が「具合が惡い」と、スポンジを抜いたのを憶えてゐる。パンツを穿かないことは「ふるちん」と言ふた。
○はい
川の魚で白いふつくらとした、鮒よりも細い身のもの。「はや」といふ魚か。
○はがため
正月の鏡餅のやうな形で、一寸五分くらいひの餅を堅く乾燥させたもの。火鉢で焼いて食べた。とにかく堅い。堅く乾燥させて痛みにくくしたのは、「かたやき」と同じ發想か。正月の鏡餅を砕いた物を「はがため」といふ地方もあるらしいが、我が家では、最初から「はがため」として作つてゐた。「齒堅め」。
○はがむ
無花果がみのると、割れて、中身が見えるやうになる。そのやうな状態を「はがんでゐる」と言ふた。歯がみして「唇が開いたやうす」からくる言ひ方か。
○はしかい
何かがすばやく動き回るやうな感じ。「あの子ははしかい」などと言ふ。のどがいがらつぽい時に「喉がはしかい」と言ふ。「背中にもみぬかが這入り、はしかい」などとも言ふ。「すばしつこい」といふ言ひ方と同じ語源か。
東京で喉にポリーブが出來た時に、醫者に「のどがはしかい」と言ふたが、「いがらつぽい」と言ひ直さねば、通じなかつた。ところが、能登の輪島では同宿の人が「のどがはしかい」と言ふてゐた。
○はじつくひ
大山椒魚のこと。はじかみに似た匂ひがするので「はじかみうを」といふらしい。「はじつくひ」とは、「はじかみ喰ひ」といふことか。赤目瀧の川に多いといふが、前の川にもゐた。
○はしゃぐ
    桶が乾燥し過ぎてたがが緩んだとき、「桶がはしゃぐ」といふ。大聲で騒ぎ合ふことも「はしゃぐ」といふのも、「氣持のたがが緩んでゐる」からか。「この桶、長いこと使はんだら、はしゃいでしもて、水が漏つてるわ。二三日、溝川に浸けとこか」などといふ。
○はしり
食べ物の調理をする所。流し臺のあるところ。
○はた
凧を揚げる事を「はたをあげる」と言ふた。
○ばたばた
自轉車に原動機をつけただけの、簡單なオートバイ。走るときの音から來た幼児言葉か。自轉車の車輪が廻る時に風船がこすれるやうに着けると、走る時に「バリバリ」音がするので「ばたばたや」と言ふて遊んだ。
○ばば
糞。「ばばをする」とか「ばばをたれる」など言ふ。幼児言葉は「うんこ」。漢語の「バーバ」と同じか。漢語では「尸」に「巴」を書く文字を二つ連ねて「くそ」の意味になる。
○はひらず
煮物などを保存する網戸で圍んだ棚。「蠅入らず」のことか。
「川合ひ(かはあひ)」が「かはひ」に、「這ひ入る」が「はひる」になるやうに、母音が省略されて、「蠅(はひ)」「入らず」が「はひらず」となる。
○はみ
へびの仲間のうち、人に噛みつく「まむし」を言ふ。「はむ」ことからか。童の頃には「はみ」を專門に獲る人がゐた。幼い時、鳶が鳴いてゐる時に「はみを獲る人がゐる」と聞いたことがある。
○腹の皮が張つたら、眼の皮たるむ
食事を濟ませて眠くなることを言ふ。おなかに物が這入り、腹が充足感に滿ちたので「腹の皮が張る」。その伸びた分は眼に現れてたるむことになる。「どこかがつつ張ると、どこかがたるむ」といふ、素朴な平衡感覺を愉快に表現したもの。「背中の皮が短い」と並んで、伊賀人のゆとりのある感覺表現。
○はん
人の名に付けて、丁寧な表現にする。人の名に付ける丁寧語は「さま、さん、はん、やん、ちゃん」の順に丁寧さの程度が下がる。物の名にも擬人化して付ける。「おかいさん、おくどはん」など。
○ひこに這入る
食べ物を呑み込んだ時に、脇道の氣管へ這入り、むせ込んだ時などに「ひこに這入つた」といふ。
○ひしる
女性が興奮して高い聲で言ひ散らすのを「ひしる」と言ふ。「あの人は、だいぶひしつてゐた」などと言ふ。
○ひだりまき
頭の働きがまともでないさま。右手の人差し指で自分の頭の横で輪を描いて言ふ。「ひだりまへ」の訛りか。あるいは、「右」が「まとも」で、「左」が「まともでない」との觀念からくるものか。幼い頃、頭のつむじが人により、違ふのかと思ふてゐた。
○ひだりまへ
物事が思ふままに進まないこと。好ましくない状態。「ひだるい」状態。「ひだり」を「左」と混同して、「左前」と書くか。
○ひだるい
ものたりない。
○ひね
日がたち、歳をとること。「日」を「寝る」ことか。野菜などの穫る時期を失ふてゐる状態をも言ふ。「このきうりはひねて黄色うなつてるわ」とか、「あそこの娘もちょつとひねて來たなあ」などと言ふ。
○ひるのひなか
「晝の日なか」で、夜でも、朝でも、夕方でもない、晝間を強調した言ひ方。
○びんづけ
魚を獲るための仕掛けのガラス瓶に餌を入れて川の中へ沈めることを「びんづけをする」と言ふた。仕掛けは「もんどり駕籠」と同じで、餌には蚕の蛹や米糠を煎つたものを入れて、尻は布を當てて紐で縛る。紐で縛り、重石を付けて、川底に沈めておく。
鬢つけ油。髪の形を作るための油、今のチックやポマードの類。薩摩薯を蒸した時に、透明感のある黄色に柔らかくなつたのを「びんづけいもになつた」と言ふた。
○ひんねし
「ひんねしをおこす」といふ。臍を曲げる。「捻る(ひねる)」と同じ語源で「ひねりし」か。

伊賀國の玄關頁
あ〜か
き〜こ
さ〜た
ふ〜ん・上野言葉
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○平成二十年九月十六日、電子飛脚の宛先訂正。
○平成十五年十一月二十五日、携帯電話版を掲載。
○平成十四年十二月朔日、掲載。
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著作權者    東川吉嗣(電子飛脚のソフトが立ち上がつたら、宛先から「ひらかな」を消して下さい。)  平成十四年、乃至平成二十年
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